裁判員制度
向井 拓 深田 匠 井上 薫 八木英次 西野喜一 大久保太郎 小堀桂一郎 本村 洋         石原豊昭  
 向井 拓 陪審員制度の疑問点 正論12月号 平成16年

 司法制度改革の一環として裁判員制度が発足する。立法や行政に比べて国民の関心が薄い、司法の分野への国民参加という点で歓迎する動きである。但し、疑問点が二つある。
 一つ目は、一審にだけ裁判員制度を導入しても、二審、三審にも導入しなければその意義は薄れるのではないかということ。裁判員制度が適用されるような重大事件は、高裁、最高裁へと控訴、上告されることが予想されるが、二審以降が従来どおりの職業裁判官のみによる審理では、中途半端な裁判制度となりかねない。この点について、制度の説明を聞く限りでは、二審、三審への適用は明確にされていない。
 二つ目は、そもそも本制度が刑事裁判に限定されているのは何故かということ。世の中が多様化し、医療裁判、特許等の各種権利に関する裁判、大型公共工事の指し止めをはじめとする行政裁判等、刑事裁判以外でも国民が参加すべき分野はある。最近でも、金融機関の合併に関するもの、雑誌等の記事内容に関するもの、閣僚の靖国神社公式参拝に関するものについて、裁判所の判決や決定が出ている。
 裁判員制度が刑事裁判に限定されている理由についても、明確な説明を聞いた記憶はないのである。⇒アメリカ(対日年次改革要望書)の意向が反映されていると聞いている。かって日系企業が米国で酷い賠償金を取られたがその報復を恐れて経済問題は除かれていると聞いている。
 深田 匠著「日本人が知らない『二つのアメリカ』の世界戦略」高木書房より

 <日弁連
 共産党直属の法曹組織は「自由法曹団」「日本国際法律家協会(国法協)」「青年法律協会青法協)」「日本民主法律家協会民法協)」「日本労働弁護団」など多数に及び、また被害者の弱味に付け込んで共産党に引き込むために「全国公害弁護団連絡会議」などを結成し、水俣病被害者など全国の公害患者を集めてマルクス主義勉強会を開いてもいる。「青法協」は弁護士総数の約15%、「自由法曹団」は約10%を占めており、この2団体だけに限っても弁護士の4人に一人は共産党直系といった状況なのだ。
 とりわけ深刻な問題は、全ての弁護士が強制加入させられる日本弁護士連合会(日弁連)が完全に共産党に実効支配されかけている現状である。日弁連を脱退したり除名されたりしたら弁護士資格を喪失するという性格上、日弁連はあらゆる思想信条の弁護士が所属する機関として政治的に左右に傾くことは本来許されない。しかし昭和41年の党大会で決定した方針に基き、共産党は「自由法曹団」を中心にして日弁連の委員ポストを独占する戦術を進め、大半の弁護士は日常の活動が忙しくて委員なんかになりたがらないことから、やがてほとんどの委員ポストが共産党系弁護士で占められるに至り、今や日弁連は共産主義者に事実上支配される機関と化してしまったのである(494頁)。

 <検察庁
 反日マルキストの司法界支配は検察庁もその例外ではなく、例えば改憲や歴史教育是正に尽力してきた村上正邦・中尾栄一・小山孝雄といった正統保守派の政治家を起訴する一方、加藤紘一や田中真紀子といった中共シンパの売国左翼政治家は議員辞職するだけで逮捕されずに見逃している。村上正邦氏は、議員辞職後も毎朝欠かさずに靖国神社に参拝され、「国難の折りに国政に携われず申し訳ない」と英霊に詫びておられるとのことだが、このような国士が政界から去ったことは日本にとって大きな痛手であり、この起訴か不起訴かをイデオロギーで決めるという検察の不公正さは、まさに横田喜三郎の「遺産」なのである。なお辻本清美の逮捕までには、事件発覚以来実に1年4ヶ月もかけて完璧な証拠固めを行い、それを検察庁に突きつけた為に、検察官も渋々了承してというのが真相なのである。警視庁捜査二課の努力によってかろうじて辻本は逮捕できたのだ(495頁)。
 井上 薫 元横浜地裁判事  正論7月号 平成18年度

 《裁判員制度は中止せよ》
 1.裁判員が法律の素人であること。

 2.裁判員のやる気なしを指摘しなければならない。

 3.裁判員が裁判について未経験だということである。
 八木英次 高崎経済大学教授 「別冊正論 07」 (PHP)

 「日本が司法界に弑される日」
 −変らぬ左翼支配・・・司法「改革」という名のパラドックスが、国民を押し潰す−
 <果たして裁判に日本国民の感覚は反映されるか>
 <反映されるのは特殊な人たちの主張>
 1.現行憲法は司法権の担い手としては裁判官のみを予想。
 2.公判出頭の義務は過重な負担である。
 3.慎重な審理が期待できない。
 4.裁判員の交代により、審理が不十分なままで判決が行われる可能性がある。
 5.準備と運営で莫大な国費を要する。

 <国民の感覚を直接反映させる危さ>
 ・情緒的ゆえの短絡的な判断をする可能性が高い。

 <GHQと日本の左翼による協働>
 <占領政策の延長としての司法制度改革>
 ・事前規制・調整型の社会から事後チェック・救済型社会へと転換する。

 <左翼の最終目標は法曹一元化>
 ・官僚司法:裁判官のキャリアシステムのこと。
 ・市民司法:法曹一元のこと。裁判所内部での裁判官統制の機能を弱める
 ・準拠集団:自由法曹団は日本共産党と関係のある団体である。
 ・青法協:偏向判決で有名。
 -------------------------------------------------------  ----------------------------------------------------------
 「裁判員制度は百害あって一利なし」

 ・断るに断れない人のいい人
 ・日当を目当てにする人
 ・社会的活動に熱心な人:「プロ市民」等の「特殊な人たち」に偏る可能性が大。

 <「国民のみなさん」の感覚を持ち込む危険>
 ・十分な職業訓練を受けていないので無理である。
 西野喜一 「裁判員制度の正体」 (講談社現代新書)

 <裁判員になれない(ならなくてよい)人(29頁)>
 T 裁判員法が「欠格事由」と定めているもの
 1.国家公務員法第38条に該当する者
 @成年被後見人又は被保佐人
 A省略
 B懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
 C省略
 D日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

 2.義務教育を終了していない者

 3.禁固以上の刑に処せられた者

 4.心身の故障で裁判員の職務を遂行できない者

 U 裁判員法が「就職禁止事由」として挙げているもの
 1.国会議員、国務大臣

 2.一定地位以上の幹部職国家公務員

 3.警察又は法律関係者(裁判官、裁判官であった者、検察官、検察官であった者、弁護士、弁護士であった者、弁理士、司法書士、公証人、警察官、警察職員、公安委員会職員、裁判所・法務省の職員、裁判官・検察官・弁護士となる資格のある者、司法修習生、法律学の教授・准教授)

 4.都道府県知事、市町村長

 5.自衛官

 6.禁錮以上の刑に当たる罪で公判中の被告人

 7.逮捕・拘留されている者

 V 裁判員法は、以下の者に「辞退」を認めています。辞退するかどうかは本人の自由、という点がT、Uとは異なっています。
 1.70歳以上の者

 2.会期中の地方議員

 3.学校の学生、生徒で、常時通学が必要な者

 4.過去5年以内に裁判員、補充裁判員であった者

 5.過去1年以内に裁判員候補として裁判員選任手続に出頭した者

 6.過去5年以内に検察審査会の検察審査員、補充員であった者

 7.次の事情で、裁判員として職務を行うことが困難な者
 @重い疾病、傷害のある者
 A同居の親族の介護、養育に当たっている者
 B仕事の上で重要な用務を抱えている者
 C父母の葬式その他社会生活上重要な用務を控えている者
 Dその他、内閣で定める事情に該当する者

 W その事件と何らかの関わりを持つ人も裁判員にはなれません。
 1.その事件の被告人、被害者、又はこれらの者の親族、親族であった者

 2.被告人、被害者の法定代理人(親権者、後見人)、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、

 3.被告人、被害者の同居人、使用人、

 4.その事件について、告発、請求をした者

 5.その事件について、証人、鑑定人になった者

 6.その事件について、被告人の代理人、弁護人、保佐人になった者

 7.その事件について、裁判官、検察官、警察職員、検察審査員、審査補助員として関与した者

 <数々の問題点(61頁)>
 1.裁判員制度は、これを実施しなければならない必然性がない無用な制度。

 2.我国の骨格を定めた日本国憲法に違反する違法な制度

 3.手抜き審理が横行する可能性がある粗雑な制度。

 4.事案の真相の追究が図られなくなる恐れがある不安な制度。

 5.公判のあり方自体において、被告人にも、犯罪被害者にも辛く苦しい思いをさせる過酷な制度

 6.費用がかかりすぎる浪費の制度

 7.裁判員に動員される国民の負担があまりにも大きい迷惑な制度

 8.国民動員につながる思想をはらんだ危険な制度

 第9章 この「現代の赤紙」から逃れるには
 <辞退事由はあるかー裁判員候補者段階>
 <「病気で行けない」ー呼出状段階>
 <制裁の発動>
 <「犬が食べてしまった」−呼出状が来た場合>
 <質問状を受け取ったら>
 <裁判長からの免除を勝ち取る>
 <「やむを得ない事由」>
 1.重い疾病又ハ傷害により裁判所に出頭することが困難であること

 2.介護又ハ養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族の介護又ハ養育を行う必要あること

 3.その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあること

 4.父母の葬式への出席その他の社会生活上の重要な用務であって他の期日に行うことができないものがあること。

 <不安を訴える・難儀を装う
 1.毅然として突っぱねること

 2.真面目にやる気が無いことを訴えること

 3.「難儀な人」を装うこと。

 <内閣の定める事由>
 ・思想・信条を理由とする辞退事由

 <人を裁くことは出来ない
 ・「信念といえばもう説得の余地は無い

 <露骨な偏見ー当事者からの忌避>
 <葬式>
 <事件との接点ー免除事由の事前作出>
 <告発をする(213頁)>
 告発とは、犯罪の被害者ではない者が、特定の犯罪について、犯人を処罰してもらいたいと警察または検察に申し出ること(犯罪被害者が申し出るのは「告訴」)ですが、裁判員法は、「その事件について告発した者は裁判員にならないと定めているのです。この告発は誰でもできるので、犯罪発生後、犯人が逮捕、報道された段階で、こんな悪い奴は許せない、といって警察または検察庁にこの告発をしておけば、絶対に裁判員に任命されることはありません。裁判員法に、告発をした者は裁判員になれないし、裁判員にしてはいけないという条文があるからです。

 虚偽の告発はいけませんが、犯罪被疑者が逮捕、報道された段階なら、虚偽の告発ということにはなりませんし、告発は刑事訴訟法の規定によって国民誰でもできることですから、遠慮する必要も恐れる必要もありません。それどころか、「刑事訴訟法」には、公務員であれば、その職務を行うことによって犯罪があったと考えた場合には、「告発」しなければならないという規定があるほどです。

 告発は、書面でも口頭でも出来ることになっていますが、書面の方が郵送できるから簡単でしょう。別に決まった書式はありませんから、葉書か白紙に、告発状、何某を○○罪で処罰してください、○○警察署長殿、と書き、記名押印して地元警察署に郵送すればよいのです。これが告発として正式に受理されるかどうかという問題はありますが、それは別に気にする必要はありません。告発状を出した、ということだけでじゅうぶん裁判員を免れることができるからです。(西野喜一 「裁判員制度の正体」 (講談社現代新書))
 大久保太郎 元東京高裁部統括判事 「文芸春秋」平成19(2007)年11月号

 「裁判員制度のウソ、ムリ、拙速」
 <裁判参加制度>
 1.英米法系:陪審制刑事事件の場合、陪審員が有罪、無罪の判断をし、有罪の場合、量刑は裁判官が行う)

 2.欧州大陸法系:参審制(参審員は裁判官とともに事実認定と量刑を行う)

 <違憲のデパート>
 〈憲法の「司法」の規定に違反〉
 ・裁判員は裁判官と同等の裁判の評決権(「1票」の権利)を持つから、実質は裁判官である。
 ところが憲法第6章「司法」中の80条1項は、「下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を10年とし、再任されることができる」と定めているが、裁判員はこれに真っ向から抵触する。

 ・「素人を裁判官として参与させる参審制は、憲法にそれについての規定がなく、しかも裁判官の任期や身分保障について専門の裁判官のみを予想しているところから違憲の疑いが強い」(伊藤正己元最高裁判事)

 ・「裁判官は、最高裁判所の提出する名簿によって政府が任命すると憲法上決まっている。抽選的に選ばれた裁判員が裁判の審議、判決にも裁判官と同じ資格で関与することは憲法違反ではないかと思う」(香川保一元最高裁判事)

 ・「裁判官でない者が刑事被告人の運命の決定に関与できるとするためには相応の根拠、規定がなければならない。特に、被告人としては、何故裁判官でない者が、憲法上の規定によらずに、自分の運命を左右できるのかと問うであろう。地方検察官も公益の代表者として当然そう言えるのである。
 また、裁判官でない者が、裁判官と対等に判断に関与できるとするためには、なぜその者の判断が憲法に根拠を持つ裁判官の判断と同等の意義を持てるのか持っても差し支えないのか、という疑問が解明されなければならないが、これらは解明も解答もされていない」(西野喜一新潟大学教授)

 ・憲法に根拠のない裁判員が、裁判官とともにであるにせよ、被告人に死刑その他の刑を科することなど、どうして許されるのであろうか

 <「公平な裁判所」の保障違反>
 ・裁判員のなかにはいろいろな人が混じるのは避けられず、実際には裁判上の適法な判断材料以外の情報により、あるいは時には他から精神的圧迫を受けて、判断を左右されるおそれのあることを免れない。

 また、裁判員は氏名も住所も公表されず、判決書に署名もしない。つまり言いっ放しの立場であり、その判断に責任を問われることもない。被告人の立場からみれば右から来て左へ去るその場限りの人たちによって自己の運命が決められることになってしまう。

 <裁判官の独立の侵害>
 
 <「国民の自由」にも反する>
 〈自由権、財産権の侵害〉
 ・国民の自由権、幸福追求権は立法その他の国政の上で最大の尊重が必要だとする憲法13条に違反し、また憲法18条の苦役強制の禁止、同19条の良心の自由の保障、同29条の財産権の不可侵に違反することが明らかである。

 <裁判員の途中交替の違憲性>
 ・証拠調べに全く、または一部にしか、立ち会っていない裁判員を裁判に関与させて被告人の運命を決めることを許すなど、憲法31条の適正手続の保障、同37条1項の公平な裁判所の保障に違反するものである。

 <長期審理に対処不可能>
 〈刑法との関係〉
 ・わが刑法下では、特に重大事件については国民参加制度の導入は、もともと不可能なのだ。しかし裁判員制度はこの点を無視して立法化された。

 〈刑事訴訟法との関係〉
 ・重大事件ではないが、先頃第一審判決のあったライブドア事件は、第1回公判前に準備が行われ、弁護人も協力する等、迅速裁判に最も適した事件だったと考えられるが、それでも第1回公判から審理の終了まで約4ヶ月公判20数回を要した。(中略)

 わが刑法および刑事訴訟法との関係から見て、重大事件の中には長期の審理を要する事件のあることは避けられず、裁判員制度がこれに対処することは不可能なのである。

 <はじめから破綻している制度>
 ・「国民参加が実現すれば裁判に世論が反映され、裁判がよくなるのではないか」とか、逆に「誤判が増えるのではないか」といった議論をする以前に、そもそも裁判員制度は法的に無理だということなのである。こんな裁判員制度が「司法改革の目玉だ」などと、どういう根拠で言えるのであろうか。

 ・裁判員制度が提案される前の平成12年9月12日の審議会で、最高裁は「陪審制、参審制を採用する国では、憲法上これを保障又は許容する旨の規定が置かれている国が少なくない。しかし、わが国の憲法では、司法権の担い手としての裁判官について身分保障等の詳細な規定が置かれている一方、陪審制、参審制を想定した規定はなく、果たしてこれが憲法上許されるかどうか問題である」とし、「陪審制について憲法問題を回避するためには、旧陪審のように陪審員の事実認定に裁判官に対する拘束力を認めない形態のものが考えられるであろう。また、参審制について憲法上の疑義を生じさせないためには、評決権を持たない参審制という独自の制度が考えられよう」と述べたのであった。

 ・「国民参加による司法改革等という主張は、無責任です」(香川保一元最高裁判事)

 ・国民は何も知らずに司法の大失策に付き合わされているのである。

 <違憲審査権はどこへいった>

 <施行前に廃止を>
 当局やマスコミは、裁判員法は平成21年5月までに当然に施行され、裁判員制度が始まると言い、国民もそう思い込まされているが、これはおかしい

 裁判員法附則2条2項は施行に条件をつけている。同法の施行の日を決める政令を定めるに当っては、政府および最高裁の広報活動の「成果を踏まえ、裁判員の参加する刑事裁判が円滑かつ適性に実施できるかどうかについての状況に配慮しなければならない」と規定しているのだ。

 ・最高裁、法務省、日弁連は、もしどうしても裁判員法を施行するというのならば、以上に指摘した問題点について、国民にきちんと説明すべきであり、説明できないなら施工を断念すべきである。これが国民に対する誠実な態度であろう。今や司法は、その誠実性が問われているのだ。
 小堀桂一郎 東京大学名誉教授 「正論」産経新聞平成19年11月13日

 「裁判員制度の実施を許すな」
 ー「他人を審(さば)くなかれ」が普遍の経験則ー

 <専門家からも適切な警告>
 ・これは実は司法権の尊厳の放棄といふべき大不祥事。憲法違反の性格が顕著なこの様な悪法は決して施行されてはならない(大久保太郎元東京高裁部統括判事「裁判員制度のウソ、ムリ、拙速」『文芸春秋』11月号)

 <大衆迎合の風潮が凝縮
 国民一般は選挙権を行使して立法府の議員を選ぶ(自ら進んで立候補ふることもある)といふ形で既に立法権に参画してゐる。行政は種々の形でその実践面に民意を反映させる通路を開いてゐる。これらは共に間接的な参加である。ところが裁判員法による国民の司法参加は現場に身を運んでの直接参加であり、しかも自らの意志にはよらない強制されての参加である。

 立憲政治の骨格をなす三権の中で最も専門職の性格が濃い司法の領域に素人の直接参加を導入しょうといふ裁判員法には、現代社会を広く毒してゐる「参加」を標榜しての大衆への迎合の風潮が凝縮して表われている

 人間智の賢者の言として、〈汝等人を審くな、審かれざらん為なり〉(マタイ福音書7、同ルカ6)、〈他の人を審くは正しく己を罪するなり〉(ロマ書2)との古来の定言がある。他人を審くなかれ、との命法は、特定宗教の枠を超えて普遍的に妥当する人間の経験則である。

 この定言は人間の本性の真実を言ひあてたもので、故に裁判官には人間界を超えた高き道理の代行者として、該博なる専門的知識と、宗教的次元のものといふべき高度の職業倫理が要求される。更にこの二つの必須の資格を補完する要件として現場経験の蓄積がある。

 <司法の尊厳を自ら冒涜>
 ところで、上に挙げた資格要件のいづれをも欠いてゐる素人が、突如官からの命令により、人を審くといふ危険な職に臨時に携はるといふのは、古の聖賢の言の如く、人として為すべからずことを敢へて為すといふ点でその事自体が既にである。

 福音書の教へを奉ずる人間でなくとも(筆者の如くに)良心の命ずる所に従って、自分はその資格なき故に人を審く立場には立たないと神明に誓ってゐる人は多くゐるであらう。国家はその人々に対して、各自の良心に反する倫理上の罪を犯す事を強制はできない。できると思ひ上がってゐるとすれば、それは国家が個人の良心の領域に踏み込んで罪を唆(そそのか)す行為なのであり、正に天人共に許さざる罪業である。

 最高裁を頂点とする司法界自体が、この様な人間倫理の蹂躙に手を貸すといふ点で、これはやはり司法の尊厳を自ら冒涜するの過誤である。裁判員制度の実施を未然に阻止する為に、国民が深く思ひを致すべき今は最後の機会である。(小堀桂一郎 東京大学名誉教授 「正論」産経新聞平成19年11月13日)
 本村 洋 光市母子殺人原告 「WILL=2008年6月号」

 <自殺を考えた日々>
 ・妻と娘の人権、そして命を弄ぶ弁護団に、いかなる言葉を投げかけることもなく、私はじっと耐えた。そんなに悔しい思いをしても、私は、この事件現場にやって来て、二人の無念を胸に、苦しみを乗り越えてきたのである。

 <娘は二度殺されました>
 「裁判は、裁判官、検察官、被告人、弁護士で行うものだ。被害者は裁判には関係ない。だから裁判官は、あなた達被害者と会う義務もないし、あなた方が裁判官に会う権利もない」と、裁判所の意向を冷たく述べた。

 刑事裁判というのは、裁判官と検事と被告人の三者でやるもので、被害者には特別なことは何ひとつ認められていないことを、私はこの時、初めて知った。

 <犯人をこの手で殺す>
 ・唯一救いだったのは、検察官が、「こんな判決は絶対に認められない。ここであきらめたら、今度はこの判決が基準になってしまう。たとえ、百回負けても百一回をやる」と、目を真っ赤にして私を励ましてくれたことだ。私はこの検察官の凄まじいまでの正義感に勇気をもらった。そうだ、あきらめたらだめだ。最後まであきらめずに活動していこう。私はそう決意したのである。
 石原豊昭 弁護士 「法律問題で困ったらこの一冊」 自由国民社

 第1章 トラブルが起きたときどうすればよいか

 <各種トラブルにはそれぞれの対処法がある>
 ・自分の主張は、相手や裁判官に分かるようにしなければなりません

 <まずは、誰かに相談することが大切です>
 ・自分の事件に照らして、どこに相談すればよいかを決めることです。

 ・法律相談で、相談者が注意することは、自分に都合のいいことだけではなく、都合の悪いことも含めてすべてを話して相談することです。また、だらだらと話すのではなく、事前に要点を整理して、必要があれば資料も持参して相談することが重要です

 <トラブルが生じたらとにかく相手と交渉してみる>
 ・交渉では、どういう権利に基づいて(請求の趣旨)、どうして欲しい(請求)かを明確にします。これは訴訟の場合も同様です

 <交渉がまとまらない場合は争うかどうかを決める>

 <法律上、トラブルがどうなるかも調べる>
 ・民事調停はお互いが裁判所(調停委員会)において話し合い、互いが紛争について譲歩して問題を解決するというものです。従って、訴訟と違い、調停委員が問題点の指摘や法律上どうなっているかなどのことも教えてくれますので、本人でも比較的やりやすい方法です。

 ・民事訴訟は弁護士などの代理人なしに、本人でも行うことができますが、通常、簡易裁判所の事件(訴訟価額が140万円以下)は、本人ができる訴訟の目安とされているようです。

 <必要があれば弁護士などの専門家に相談する>
 ・まず、弁護士には、トラブルに関して何もかも包み隠さず話すことです。自分に都合の悪いことは、なかなか話しづらいものですが、これでは、訴訟に勝つことは困難となります

 <どういう法的な方法で解決するかを考える>
 紛争解決手続き(ADR)機関による仲裁の場合、仲裁だからといって気軽に応じると大変なことになります。仲裁における裁定は、仲裁法により判決と同様の効力を生じて強制執行ができるようになりますし、裁定の内容に不服があるとして、訴訟を起こすことは原則としてできません。

 第2章 ケース別・トラブルはこう解決する

 <紛争解決で知っておきたい法律用語>
 不法行為とは、故意・過失により他人の権利を侵害することで、損害賠償をしなければなりません。不法行為となるケースは交通事故・営造物による事故・医療事故・離婚など、多くあります。

 <民事事件一般の解決法>
 ・各地の弁護士会の法律相談センター
 ・各自治体の法律相談室

 <人権に関するトラブルで困ったとき
 (憲法の基本的人権の保障
 ・第13条:個人の尊重、生命・自由・幸福追求権
 ・第14条:法の下の平等
 ・第15条:公務員の選定罷免権・普通選挙・秘密投票の保障
 ・第16条:請願権
 ・第17条:国・公共団体への賠償請求権
 ・第18条:奴隷的拘束の苦役からの自由
 ・第19条:思想および良心の自由
 ・第20条:信教の自由
 ・第21条:集会、結社、表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密
 ・第22条:居住・住居・職業選択の自由、外国移住・国籍離脱の自由
 ・第23条:学問の自由
 ・第24条:個人の尊厳と両性の平等
 ・第25条:生存権
 ・第26条:教育を受ける権利
 ・第27条:勤労の権利・義務
 ・第28条:勤労者の団結権・団体交渉権
 ・第29条:財産権の保障
 ・第31条:法的手続きの保障
 ・第32条:裁判を受ける権利
 ・第33条:逮捕に対する保障
 ・第34条:拘留・拘禁に対する保障
 ・第35条:住居侵入・捜索・押収に対する保障
 ・第36条:拷問及び残虐な刑罰の禁止
 ・第37条:刑事被告人の諸権利の保障
 ・第38条:不利益な供述の強要禁止・自白の証拠能力
 ・第39条:刑罰法規の不遡及・二重処罰の禁止
 ・第40条:刑事補償
 
 第3章 各種の相談所や紛争解決機関を積極的に活用しょう

 <相談・あっせん・仲裁などの各種機関の利用法>
 (裁判外の紛争解決機関
 1.裁判所の裁判外手続
 ・訴え提起前の和解など
 ・民事調停手続

 2.行政の運営する機関
 ・都道府県等自治体の法律相談所

 3.民間の運営する機関

 <弁護士会の法律相談センター
 ・滋賀 大津市梅林1−3−3 (077-522-2013

 <日常生活のトラブルの相談先と紛争解決機関>
 (人権侵害の相談等
 ・各地の法務局・地方法務局および支局

 第四章 いろいろな紛争解決法を知っておこう
 <民事調停による解決法>
 ・民事調停は、簡易裁判所に申し立てます。申立書は日本工業規格A4判で、申立用紙および記載例が簡易裁判所に容易されています。

 <訴訟による解決法
 (訴訟とは何か
 ・判決によって解決を図る手続。訴訟は紛争を解決するための最終的な手段ですので、双方の言い分が食い違ったり、話し合いが困難な場合に活用するとよいでしょう。

 (訴訟手続の流れの概要)
 訴訟は裁判所に対して、訴状を提出することによって始まります。そして、この訴状が裁判所で受け付けられると、最初に法廷に出頭する期日(第一回公判)が決められ、訴えた人(原告)と訴えられた人(被告)の双方にその期日が通知されます。また、被告に対しては、訴状の副本が送られます。被告は、答弁書を裁判所に提出して、反論ができます。

 第一回公判では、原告は自分の言い分を裁判官に伝える必要があります。証拠書類等があれば持参します(申立書に添付したものは不要)。裁判所は、当事者の言い分や証拠を調べて、判決をします。

 判決に不服がある場合には、判決を受け取った日から2週間以内に、控訴をすることができます。この期間に控訴しないと、判決は確定し、原告の勝訴であれば、原告は強制執行ができます。

 なお、訴訟の途中で、双方が裁判所で話し合いをして合意ができれば、裁判中に和解をすることもできます。裁判官が和解をすすめる場合も少なくありません。これを裁判上の和解と言います。

 (訴訟の申立のしかた)
 訴訟を申し立てる裁判所は、訴訟の目的物の価額が140万円以下の場合は簡易裁判所、その価額が140万円超の場合には地方裁判所です。
 
                                                     訴 状
 (収入印紙)                           平成○○年○○月○○日

 ○○地方裁判所 御中
                         原告訴訟代理人  弁護士 甲野太郎 印
               〒○○○ー○○○○   東京都○○区○○丁目○○番地
                               原告          真中 行造

               〒○○○ー○○○○   東京都○○区○○丁目○○番地
                               甲野法律事務所(送達場所)


                         上記訴訟代理人  弁護士 甲野太郎
                             電話 03-○○○○-○○○○
                            FAX  03-○○○○-○○○○
               〒○○○ー○○○○   東京都○○区○○丁目○○番地
 

                          被告             乙川次郎

 保証債務請求事件
    訴訟物の価額                   万円
    ちょうよう印紙額                   円

 第1 請求の趣旨

 第2 請求の原因
 1 ・・・・・・・・・・・
 2 ・・・・・・・・・・・

                  証拠方法
 1 甲第1号証 ・・・・
 2 甲第2号証 ・・・・


                  付属書類(以下略)

 


[PR]女性が輝く公文の先生募集中!:全国で教室開設説明会開催