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サンフランシスコ講和条約
福田和也 稲垣 武 国会での赦免決議 田久保忠衛 渡部昇一 屋山太郎 福田和也            
 サンフランシスコ講和条約
 (「日本との平和条約」、昭和26年9月8日締結)

 山谷えり子氏:参議院議員
 稲田朋美氏:弁護士

 第11条:「日本国は、極東軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一叉は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基づく場合の外、行使することができない。極東軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基づくの外、行使することができない」

 山谷:11条は、条約発効後も東京裁判や他の戦犯法廷の判決の効力を維持するために日本が刑の執行を継続し、赦免・減刑・仮出獄は連合国の同意を得て行うという手続を定めたものです。その文脈からすれば、「判決」と訳すのが適当ではないか、というのが私の質問の趣旨でした。

 山谷西村熊雄外務省条約局長は条約締結翌月の昭和26年10月17日、衆院平和条約及び日米安全保障条約特別委員会で、「第11条は戦犯に関する規定であります。戦犯に関しましては、平和条約に特別の規定を置かない限り、平和条約の効力発生と同時に、戦犯に対する判決は将来に向かって効力を失い、裁判がまだ終わっていない者は釈放しなければならないというのが原則であります。従って、11条はそういう当然の結果にならないために置かれたものでございまして、第一段におきまして、日本国は極東軍事裁判所その他連合国の軍事裁判所によってなした判決を受諾するということになっております」と答えています。

 また26年11月14日には、大橋武夫法務総裁(現在の法務大臣)が衆議院法務委員会で、「裁判の効果というものを受諾する。この裁判がある事案に対してある効果を定め、その法律効果というものについては、これは確定のものとして受け入れるという意味であると考える」と答えています。いずれも、11条本来の趣旨に則った政府見解だと言えます。

 ところが、時を経て、政府答弁が変わってしまいました。

 平成10年3月25日の参院予算委員会で竹内行夫・外務省条約局長が、「裁判という文言と判決という文言をあてる場合がございますが(中略)特段の意味の差があるとはこの場合におきましては考えておりません」
 「極東国際軍事裁判所の裁判を例にとりますと、裁判の内容、すなわちジャッジメントは三部から構成されておりまして、この中に裁判所の設立及び審理、法ー法律でございますけれども、侵略とか起訴状の訴因についての認定、それから判定、これはパーディクトという言葉を使っておりますけれども、及び刑の宣言、センテンスという言葉でございますけれども、(中略)裁判という場合には、このすべてを含合しております」と答弁します。

 平成17年6月2日答弁した林景一・外務省国際法局長の「ジャッジメンツ」について説明は、「裁判所の設立、あるいは審理、あるいはその根拠、管轄権の問題、あるいはその様々なこの訴因のもとになります事実認識、それから起訴状の訴因についての認定、それから判定、(中略)刑の宣告であります」というもので、竹内答弁を踏襲していました。

 ≪政府見解の呪縛
 稲田:現在の政府見解は、当時の国民の総意に対する裏切りだと思います。さらに言えば、「A級戦犯」として有罪判決を受けた重光葵氏と賀屋興宣氏は釈放後に外務大臣、法務大臣となっています。重光氏にいたっては国連に復帰した際に演説をして拍手を浴びています。「A級戦犯」はいつまでも国際的には犯罪人であるというのなら、国連での演説が認められるとは思いません。

 ≪「事実」を大切にせよ
 稲田:ポツダム宣言第六条は、連合軍の正当性を宣伝し、日本を世界征服をもくろんだ軍国主義と決め付けた連合軍の声明にすぎません。また、ポツダム宣言の最後が「右以外の日本国の選択は迅速かつ完全なる壊滅あるのみ」(13条)とあるように宣言自体が脅迫文そのものです。しかも原子爆弾という人道に反する兵器を二つも投下して何十万という無辜の日本市民を虐殺し、脅迫を現実の差し迫ったものとして日本に示しました。そのような状況で受諾させられたポツダム宣言の、しかも「日本が世界征服をもくろんだ」などという荒唐無稽な宣伝文句にすぎない六条に日本が拘束されるいわれは全くないと思います。

 さらにポツダム宣言を持ち出すのであれば、十条でいう「戦争犯罪人」とは、ポツダム宣言受諾時における「戦争犯罪人」をさすことはあまりにも明らかです。その後の極東軍事裁判設置条例(昭和21年1月19日制定公布)で戦争犯罪とされた「平和に対する罪」で裁かれた「A級戦犯」は、十条の戦争犯罪人ではありません。ポツダム宣言受諾時に犯罪ではなかった「平和に対する罪」で裁いた東京裁判こそポツダム宣言十条に違反しています。すなわちポツダム宣言に照らしても「A級戦犯」は「戦争犯罪人」ではなく、日本国内で、「A級戦犯」の名誉を回復し、靖国神社に合祀することは何ら国際法違反と非難される筋合いではなく、純粋に内政問題なのです。
 
 福田和也 文芸評論家 正論8月号 平成17年度

 「解放軍」を名乗って現れたソビエト軍が、そのまま占領軍として居座り、ポーランド、ハンガリーチェコ・スロバキア、ルーマニア、ブルガリアなどの国々を共産化するとともに衛星国化していった、その膨張した姿は、ナチスのヨーロッパ征服とさして変わらない悪夢、というよりも悪夢の現実化として立ち現れたのである。

 吉田茂は、全面講和を唱えた東大総長南原繁を、「曲学阿世の徒」と罵り、世論の憤激を買った。けれども、ソビエトや中国の意思を尊重する講和条約など、アメリカが許容しないことが明白な以上、独立の日は無限に先延ばしされることになる。
 一国の独立という、人倫にとってもっとも重要な事柄を、イデオロギーの戯れのために犠牲にして恥じないのならば、それは「曲学阿世」とされても仕方がないのではないか。
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 福田和也 文芸評論家・慶応大学教授 

 「悪と徳と」
 ー訪米ー
 ・アイゼンハウアーは議会に対して、サンフランシスコ条約締結以来、日本で裁判の対象となった15,000件近い事件のうち、97%について、日本側が自主的に裁判権を放棄してアメリカ側の審判に委ねてきたこと、重大な罪として日本側が裁いた場合でも、アメリカでの量刑と比較すればかなり軽い判決が出ていることを述べて、政府の処置が正しいことを述べた。
 稲垣 武 ジャーナリスト 正論8月号 平成17年度

 第11条:「日本国は、極東軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一叉は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基づく場合の外、行使することができない。極東軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基づくの外、行使することができない」

 講和条約で日本が受け入れたのは、判決が科した刑罰の執行の継続であって、裁判や判決の趣旨を受け入れたわけではない。講和条約の外務省訳の第十一条には「日本国は極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し」とあるが、英語原文は「Acccepts the judgments」となっており、受諾したのは「諸判決」であり、「裁判」そのものではない。これは外務省の翻訳ミスか、意図的な誤訳である。

 東京裁判に対する疑問は、講和条約調印後に沸騰した。国会でも講和条約第11条への不満や、東京裁判が近代法の基本原則である「罪刑法定主義」を逸脱して、禁じられている「事後法」=「平和に対する罪」などを遡って適用し断罪するなどの無法を敢えて犯しているとの批判が相次いだ。

 仮に「A級戦犯」に戦争責任ありとしても、それは刑死したことによって罪を償ったのだから、死者の霊に責任はないとして祀るのが日本人の死生観であり文化であって、文字通り「死者を鞭打つ」遺体を掘り返して笞をふるうような中国人の文化とはちがう。毎日の論説委員も少し日中の文化の違いを勉強したらどうか。

 「生活の困窮に手を差し伸べる」だけなら、生活保護を適用すれば済む。それを他の遺族と同様、年金を支給することにしたのは、犯罪者として処刑されたのではなく、一般戦死者と同様、公務で死亡したと認定したからで、名誉を回復したに等しいと考えるのが普通だ。しかも刑死したA級戦犯の援護を国会で強く主張したのは社会党の堤ツルヨ議員だった。
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 「正論11月号 平成18年度」

 ・もし、吉田が全面講和論に屈服していたらどうなったか。講和はいつまでも実現せず、占領は長期化し、国民の反感が増大してゲリラ戦が起こり、日本は騒乱の巷になっただろう。それこそ「革命を導く」として共産党や社会党が待望した状況である。しかし幸いなことに、吉田外交が功を奏して早期の、賠償も取られない寛大な講和が実現し、日本は米国からの技術導入と、巨大な米国市場への参入で好調を続けた輸出に支えられて、「奇跡の経済成長」をなしとげ、世界第二位の経済大国となった。

 ・「個性尊重」の絶対視は、三十歳過ぎても「自分の個性を発揮できる仕事が見つからない」と、親に寄生するパラサイト症候群もひりだした。南原が揚言した「自由な精神的独立人が真に強い日本をつくる」どころの騒ぎではない。⇒個性尊重の教育が大量のフリーター、ニートを生み出した。フリーターは親に経済力が無い場合に、親に経済力がある場合はニートへと流れているようだ。
 国会での赦免決議 正論8月号 平成17年度

 国会での「戦犯」の釈放・赦免決議は、昭和27年6月9日、参院本会議、▼同年6月12日、衆院本会議▼同年12月9日、同▼28年8月3日、同▼30年7月19日、同 - と繰り返し行われました。28年8月の衆院本会議の「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」は、次のようなものです。

 「8月15日9度目の終戦記念日を迎えんとする今日、しかも独立後すでに15ヶ月を経過したが、国民の悲願である戦争犯罪による受刑者の全面赦免をみるに至らないことは、もはや国民の感情に絶えがたいものがある、国際友好の上より誠に遺憾とするところである。しかしながら、講和条約発効以来戦犯処理の推移を顧みるに、中国は昨年8月日華条約発効と同時に全員赦免を断行し、フランスは本年6月初め大減刑を実行してほとんど全員を釈放し、次いで今回フィリピン共和国はキリノ大統領の英断によって、去る22日朝横浜埠頭に全員を迎え得たことは、同慶の至りである。且つ叉、来る8月8日には満州マヌス島より165名の全部を迎えることは衷心欣快に堪えないと同時に、豪州政府の対して深甚の謝意を表するものである。

 かくて戦争問題解決の途上に横たわっていた最大の障害が完全に取り除かれ、事態は、最終段階に突入したものと認められる秋に際会したので、この機会を逸することなく、この際有効適切な処置が講じられなければ、受刑者の心境は憂慮すべき事態に立ち至るやも計りがたきを憂えるものである。

 われわれは、この際関係各国に対して、我が国の完全独立のためにも、将叉世界平和、国家親交のためにも、すみやかに問題の全面的解決を計るべきことを喫緊の要事と確信するものである。

 よって政府は、全面赦免の実施を促進するため、強力にして適切且つ急速な措置を要望する。右決議する。これらの議事録は、国会図書館の国会会議録検索システム
(http://kokkai.ndl.go.jp)で、全文が検索できます。
 田久保忠衛 杏林大学客員教授 諸君8月 平成17年度

 「個々の判決を受け入れた」と書かれているんです。つまり「独立したからといって、刑の執行を途中でいい加減にしてはならない」と念を押しているのが、この一文の真意なんですね。朝日新聞が主張するように「東京裁判の示す歴史観、戦争観をすべて批判せずに受け入れ、国是としなさい」ということではまったくないのです。
 渡部昇一 上智大学教授 WILL 10月号 平成18年度

 加藤紘一:日本政府はサンフランシスコ講和条約で、先の戦争を「誤った戦い」と認めた。⇒「敗戦」を認めたのである

 渡部:勝った側からいろいろと押し付けられて敗戦国だから受け取っただけです。

    今から見れば誰が考えても先の戦争で一番悪いことをしたのは原爆を落とし、無差別爆撃をしたアメリカです。原爆や爆撃は明瞭なるハー    グ陸戦条約違反です。原爆は言うまでも無く、東京空襲でも一晩で十万人死んでいる。アウシュビッツだって一日に十万人は殺しませんよ。    明白な人道に対する罪です。

     しかし、その点についてアメリカは何の責任も取ろうとしない。講和条約ですべてチャラにしている。それ以前のことはお互い政治では言わ    ない約束です。学術的に研究するだけならいいですが、政治的にそれを取り上げる加藤さんには政治家の資格はありません。
 屋山太郎 政治評論家 「日本の教育ーここが問題だ」 海竜社

 ・GHQによる日本占領が解除されたときに、日本政府が真っ先になすべきことがあった。それは、連合国軍の命令のもと、有無を言わせずに日本に組み込まれた日本解体の「仕掛け」を外すことだった。それと同時に、連合国による占領期間中に、日本が「されたこと」について、徹底的に洗い直しをすべきだった。
 
 
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