| 年次改革要望書 |
| 吉川元忠 | 関岡英之 | 堤 尭&久保紘之 | 伊豆村房一 | 高橋洋一 | 真中行造 |
| 吉川元忠・関岡英之共著 「国富消尽」 PHP 序に代えてー 新段階を迎えた日本 《嵐の前の静けさ》 《「もはや引き返せない道」か》 第一章 着々と進む日本企業買収の環境整備 ー 2005年M&A狂想曲の教訓 《起るべくして起った象徴的事件の連鎖 − 関岡》 《「新帝国循環」が支えるアメリカの日本買い ー 吉川》 《日米の株価格差に潜む危険性》 《「外国株対価の合併」を一年凍結させたホリエモンの「功績」 − 関岡》 《国を挙げて外資によるM&Aを後押し − 関岡》 ・対日投資会議(1994年設立) 《日本企業買収のために達成された「成果」の数々 − 関岡》 《日米構造協議は終わっていない − 関岡》 《アメリカのエージェントと化した日本の新聞 ー 吉川》 《「年次改革要望書」をめぐる問題状況 − 関岡》 《「消費者のため」という大義名分 ー 吉川》 《「トロイの木馬」に翻弄される日本 − 関岡》 ・「日本の消費者のためになる」等という米国の恩着せがましい言いぐさは、米国が日本に内政干渉するときの常套的なレトリック。 ・「消費者の利益」のみを強調するのは、物事の一面しか見ない浅墓な議論だと思います。 ・米国の「消費者のため」というレトリックと、「トロイの木馬」戦術に振回され、完全に米国の轍にはまってしまったー それがここ20年の「失われた日本の本質」だと思います。「トロイの木馬」戦術とは、米国の要求を「日本の必要」として代弁させる著名人なり団体を見つけ、広告塔として利用するというもの。(46頁) 《三角合併を推進した日本経団連の愚 ー 吉川》 《うろたえる財界、激怒する法務省 − 関岡》 《三角合併は国民の財産権の侵害 ー 吉川》 ・三角合併の場合によく考えるべきは、「ドルは必ず下がる」ということ、少なくとも為替変動があるということです。 《気がつけば包囲され、為す術もなくなっている − 関岡》 ・まず「制度設計」をして、それで相手を囲い込み、「拒否できない状況」をつくりあげてしまう。その構想の壮大さと実行力には戦慄を覚えます。 《アメリカ式システムになびく日本の若者 ー 吉川》 《M&A狂想曲から学ぶべき最も大切なこと − 関岡》 ・「グローバリゼーション」は吉川先生が15年前に『アメリカの産業戦略』で指摘されているとおり、「米国の国家戦略」の賜物以外の何ものでもないと思います。 第二章 外資によるM&Aの新時代 −危機に立つ日本的経営 《外国人持ち株比率24%の意味 ー 吉川》 《外国人持ち株比率の上昇は歴史の必然ではない − 関岡》 《買収者側に有利な経産省・法務省のガイドライン ー 吉川》 《外資を狂喜させた東京地裁の司法判断 − 関岡》 ・防御する立場の日本企業よりも、「外資や買収する側に有利な判例」をつくるのに「東京地裁」は貢献している。 《二分化する日本企業の経営スタイル ー 吉川》 ・「外国人の持ち株が3割を超えているような会社」は否応なく、経営スタイルも雇用スタイルもグローバル型(アメリカ型)になっていくと思う。 《日本国内外で暗躍する外資の利益代表 − 関岡》 ・経産省が「日本企業の買収防衛策導入に歯止めをかけるガイドライン」を作成し、東京地裁が「防衛策導入に指し止め命令」を出し、「外国人投資家が株式総会で防衛策導入を否決」するー こういう一連のことがごく短期間のうちに起っているわけです。そしてその裏には、「在日米国商工会議所」や「ISSジャパン(米国メリーランド州に本部を置く投資会社の日本子会社)」など米国勢の動きがあるわけです。(71頁) 《ポイズンピルに歯止めをかける東京証券取引所 ー 吉川》 《社外取締役制度導入も日本企業買収の手立て − 関岡》 ・いったい「日本経済新聞」は日本の読者とワシントンのどちらを向いて仕事をしているのか。東谷暁さんの「日本経済新聞は信用できるか」は、ぜひとも日本経済新聞の読者に読んでほしい本です。 ・商法では選択制になっているにもかかわらず、「金融庁」と「東証」が全上場企業に「社外取締役制度を強制」しょうとしているのは、米国型の社外取締役を日本に普及させようと画策している米国の片棒を担いでいるとしか考えられません。 《日本もヘッジファンドの情報開示を提起すべき ー 吉川》 ・外資の利益を守るためのガイドラインなどつくっている場合ではありません。外国人持株比率24%以上という数字のなかには、得体の知れない「ヘッジファンド」が潜んでいるのです。株主総会で日本企業のポイズンピルを否決したのも、彼等かもしれません。「ヘッジファンドの情報開示」を、日本もドイツと一緒に提起すればいいと思います。(77頁) 《ヘッジファンドも格付け会社も野放し状態 − 関岡》 ・「ヘッジファンド」というのは平たく言えば「乗っ取り屋」です。 ・EUでは最近、格付け会社に対して「登録制の導入」など規制を強化すべきだとか、「格付け会社の情報公開」を義務付け透明性を高めるべきだという議論が出てきているようで、やはりEUも米国系格付け会社の恣意的な格付けに相当悩まされているのでしょう。 《なぜ対日投資はM&A一辺倒なのか − 関岡》 ・新規投資(グリーン・フィールド)や合弁(ジョイント・ベンチャー)なら、新規に雇用も創出し、外国の技術やビジネスモデルの流入にもなり、大いに歓迎して、むしろ優遇してもいいくらいだと思っています。これらの検討すらしないということは、ただ日本企業を「傘下に支配」し、「利益を本国に吸い上げる」ことしか考えていないということの証左である。(82頁) 《アメリカの掲げる企業価値の欺瞞 ー 吉川》 ・「産業の空洞化」と「経常赤字」の増加を放置したまま、ひたすら「金融企業化」を進めているのがアメリカ経済なのです。このようなことが、はたしていつまで続けられるのでしょうか。そんなアメリカの企業が好調な業績をあげているように見せる為には、包括利益(純利益に売買可能有価証券の評価損益やデリバティブなどの金融商品の評価損益を加えたもの)を導入するしかないのです。そしてそれを「ゴリ押しで世界標準化」することにより、アメリカの企業価値は世界に通用することになるのです。(87頁) 《米国が進めるグローバリズムの本質 − 関岡》 ・1980年代の前半、レーガン政権の頃に、米国は「モノづくりで日本に負けた」という認識を持ったと思います。それで急速にサービス部門、特に「金融」や「会計」の分野に国家の財源をシフトしていき、そこでは絶対に日本に負けることのない、「米国が必ず勝てるような制度をまず設計」する。そして、「グローバル・スタンダード」と称して世界に押しつけ、「自国に有利な世界システムを構築」したうえで日本に市場を開放させ、「規制緩和」や「構造改革」を迫って「参入障壁」を取り除かせ、思う存分に市場を席捲する。レーガン大統領時代にそういう大きな対日政策の転換があったのだろうと思います。 こうした戦略を構想、立案したのはレーガン政権というよりは、米国の投資銀行(日本流に言えば証券会社)を中心とした「金融業者」、「会計士業界」や「弁護士業界」だったのではないか。この三者が結託し、三位一体となって、米国のシステムを世界システム化し、「米国資本が国境を越えて自由に出入りする」ことで利益を米国に吸収させていこうとしたわけです。これが米国が進める「グローバリズムの本質」だと思います。(88頁) ・「米国の投資ファンド、金融業者、会計士業界、弁護士業界」などから、世界第二の市場規模を抱える有望な稼ぎ場所として「虎視眈々と狙われているのが、今の日本」である。(91頁) 第三章 郵政民営化の真実 − 狙われる日本の個人金融資産 《郵政民営化は内政問題ではない − 関岡》 《四分社化は本当に機能するのか ー 吉川》 ・「外資は分社化した郵貯や簡保に対してM&Aをやりたい」ということなのです。特に簡保の顧客情報は宝の山。日本の顧客情報はアメリカに筒抜けになります。(98頁) 《米国保険業界の露骨な圧力 − 関岡》 《日米保険摩擦の経緯 − 関岡》 《すべて外資に買収された破綻生保 − 関岡》 《郵政民営化の本質は官営保険の対米市場開放問題 − 関岡》 ・「官から民へ資金を流せ」「民にできることは民にやらせろ」というときの「民」は、日本国民の「民」でも何でもなく、日本社会の行く末にはいっさい責任を負わない、「米国系民間保険会社の『民』」にほかならない。(109頁) 《マネーは官から民へではなく、日から米へ ー 吉川》 《民営化後の簡保・郵貯の行く末 − 関岡》 ・米国にとって単なる民営化はゴールではなく、簡保・郵貯を金融庁や公取委の検査でゆさぶり弱体化させ、最終的には分割、解体、経営破綻に追い込み、M&Aや営業譲渡などさまざまな手段を弄して、その「個人金融資産を米国系金融機関に吸収させる」ことが最終的な狙いなのです。 《小泉レトリックの欺瞞 ー 吉川》 《キーワードは2004年秋までに − 関岡》 《郵政民営化法案に反対した自民党議員こそ真の愛国者 − 関岡》 ・旧通産省出身の小林興起衆議院議員 ・旧大蔵省出身の小泉龍司前衆議院議員 ・城内実氏 《大政翼賛会した日本のマスメディア − 関岡》 《民営化ビジネスはウオール街の「カネのなる木」 − 関岡》 《民営化イデオロギーに踊らされる財界 ー 吉川》 《外資にナイーブすぎる日本 − 関岡》 ・日本は欧米の外資に対して警戒心がなさ過ぎる。発展途上国で推し進められた「民営化」や「外資導入」の結果、それらの国々の経済が「外資の食いもの」にされ、あとに残ったのは「伝統的秩序の破壊」と、「社会や人心の荒廃」のみだったのは紛れもない事実です。そしてこうした国々の惨状に対する憂慮から反グローバリズムの気運が高まり、ヨーロッパでも支持を広げているのです。 ・民営化とは、「公から私へ」、すなわち「公共の仕事を、営利を追及する外資を含む私企業にやらせろ」ということに尽きるのです。 第四章 深く静かに進む米国の日本改造 − 司法・医療・教育まで米国化されるのか 《日本を米国型訴訟社会に変える司法制度改革 ー 関岡》 ・「司法制度改革」もまた、純粋な内政問題ではありません。宮内氏が司法制度改革を提言した1994年は、まさに第一回の「年次改革要望書」が米国から日本に提示された年だったのです。そしてその要望書には、「独占禁止法の改正」と「民事訴訟手続きの改善」という要求が、セットで盛り込まれていました。以後、米国は日本に司法制度改革の圧力をかけ続けてきたのです。(135頁) ・日本の商習慣で米国にないものはすべて独禁法違反として訴訟の対象になるわけです。 ・米国が司法の分野に関して「年次改革要望書」で日本に要求してきたポイントは、「民事訴訟の活発化」と、「外資系法律事務所の日本での活動に関する規制緩和」の二つです。 ・米国では訴訟はひとつの産業なのです。 ・米国自身は、訴訟社会の弊害を骨身にしみて感じていて、反省気運から訴訟を抑制する方向で改革しているにもかかわらず、日本に対してはむしろ「訴訟の活発化を要求」しているのです。 ・今後、法科大学院を出たての日本人弁護士の卵たちが外資に大量採用され、海千山千の米国人弁護士に指揮されて、「足軽」として日本企業に襲い掛かってくるのです。米国流のシビアな裁判に慣れていない日本の企業や弁護士事務所は、赤子の手を捻られるようにひとたまりもないのではないでしょうか。心配でなりません。(138頁) 《大陸法の日本とは法体系が異なる英米法 ー 吉川》 ・裁判員制度というのは、経済関係の裁判には適用されないようですが。 《なぜ民事にも裁判員制度を導入しないのか − 関岡》 ・日本の司法制度改革の中身をおさらいしてみると、大きく分けて三つの柱からなっています。まず、裁判期間を短縮、迅速化することで、「裁判を起こしやすくすること」。次にその対策として、「裁判官や弁護士の人数を大幅に増やすこと」。そして三番目が、「米国流の陪審員制度を導入」して、国民が裁判に接する機会をつくり、司法を国民にとって身近なものにするということです。 ・日本で民事に裁判員制度が導入されたら、米国にとって不利だと単純に考えたのかもしれません。なぜか、まるでそれに配慮したごとく、「裁判員制度は刑事訴訟のみに導入」するという、米国にとってまことに都合のよい制度設計になっているのです。(143頁) 《英米法は遅れた法体系 ー 吉川》 ・日本はヨーロッパの大陸法の法典主義の伝統を受け継いでいて、アングロ・サクソン系の英米法とは根本的に法体系が異なっている。(中略)要するに、英米法は大陸法に比べて遅れた法体系なのです。逆に言うと、組織化されていないから、どう出てくるかわからない、ご都合主義的なところがある。そこが英米法の厄介なところです。(144頁) 《日本人の精神を改造する目論見 − 関岡》 《進行する社会のアングロサクソン化 − 吉川》 《国民は「事後調整型社会」を望んでいるのか − 関岡》 ・「事前調整型」というのは、根回しや行政指導などによってあらかじめ関係者が話し合って利害を調整し、未然に紛争の芽を摘み取っておくやり方です。まさに、「秩序や協調を重視するこれまでの日本的な社会のあり方」です。 一方、「事後調整型」とは、行政による規制や業界の事前調整をいっさいなくして自由競争に任せ、問題が起れば裁判で争って解決するというやり方です。これはまさに「米国社会そのもの」です。つまり司法制度審議会は、これまでの日本社会を否定して、米国型の社会に転換すべきだと提言しているのです。(148頁) 《アメリカ型システムの押し付けは医療、教育にも − 吉川》 《医療制度改革も米国の要求 − 関岡》 《挫折したアメリカの医療保険改革 − 吉川》 《市場原理が支配する米国医療の惨状 − 関岡》 ・保険会社は大口契約で削られたマージンを小口契約で補填しょうとするため、自営業者や退職者など、個人で保険に入ろうとする人には割高な保険料を請求します。その結果、所得の低い人ほど保険料が重くなるという、負担の逆進性が常態化しているといいます。「小さな政府」で個人の自己負担が小さくなるわけではなく、むしろ「逆」なのです。(中略) 米国では、いまや「医療負担にともなう個人の自己破産」が、「クレジットカード破産」に次いで多くなっています。病気に罹ることがまさに人生の破局に直結するような社会なのです。(中略) 米国医療の実態は、「小さな政府」というものが、国民経済全体的には「高負担・低福祉」をもたらすことを示唆していると思います。(159頁) 《強引に推し進められる医療制度改革 − 関岡》 ・これが実現すれば、「長生きしたければもっとカネを払え。払えない年寄りは早く死ね」という世の中になります。ホリエモンは「人の心はカネで買える」と言い放ちましたが、「人の命もカネで買える」時代がまさに日本にも到来するのです。 《狙われる日本の製薬会社 − 吉川》 《医療を歪める医療過誤訴訟と医療過誤保険 − 関岡》 ・訴訟社会が医療をも絶望的に歪めているのです。 《郵政も医療も日本国内に「割れ目」はない − 吉川》 《日本の大学は既に過剰投資 − 吉川》 《英語学校はアメリカニズムを刷り込む装置 − 関岡》 ・日本では近代経済学だろうと量子物理学だろと、すべて日本語で教授することができる。それは西周や福澤諭吉の造詣のおかげですね。これが日本独自の近代化、日本型資本主義の生成の礎になったと思います。逆に言えば、「英語がうまい」というのは「植民地的状況」といえるわけです。(170頁) 《歴史こそ日本のアドバンテージ − 吉川》 ・アメリカ人は歴史ということを言われるとびくつく。 第五章 アメリカの対日圧力を振り返る − アメリカ型システムの押しつけはこうして制度化した 《それは日米構造協議から始まった − 関岡》 《レーガン政権下で拡大した双子の赤字 − 吉川》 《日本が応援した共和党が「日本異質論」を採用 − 吉川》 《原型としての日米円ドル委員会 − 関岡》 《「アメリカは負けるはずがない」という前提 − 吉川》 《日本の制度に初めて手を出した日米円ドル委員会 ー 関岡》 ・本来米国自身の問題であるべき「双子の赤字」は、黒字国である日本に責任があるというとんでもないロジックによって、相手の国の「制度や法律に公然と内政干渉」した。⇒中韓と一緒である。 ・相手国を自国にとって都合のいいかたちに改造していく「大義名分が一度通ってしまえば」、次々とそれを「拡大解釈」していくことができるわけです。その集大成をして表れたのが、「日米構造協議」だったのではないかと思うのです。(189頁)⇒「靖国参拝」もいえる。 《日米貿易摩擦の壮大なる「最終解決」策 − 吉川》 《日本の構造に踏み込んだ六つの要求 − 関岡》 ・日米構造協議での米国側の要求は240項目もありましたが、吉川先生はそれを「アメリカの産業戦略」のなかで、六項目に整理されています。 1.「貯蓄・投資パターン」 2.「土地政策」 3.「流通障害」 4.「価格メカニズム」:内外価格差問題 5.「排他的取引慣行」 6.「系列化」 こういった個別産業分野に収まらない、分野横断的といいますか、日本の経済社会の構造そのものに土足で踏み込んできた要求でした。今日、それらが日本にどんな影を落としているのか。 《「貯蓄」から「消費」へ変わった日本人のビヘイビア − 吉川》 ・堺屋太一氏がモデルとするのはつねにアメリカであって、極端な話、日本がアメリカの51番目の州になってもいいと思っているのかもしれません。(193頁) ・日米構造協議は勤倹貯蓄を尊ぶ日本人の精神構造に変化をもたらしたと言わざるをえないと思います。 《米国型「消費立国」論の危うさ − 関岡》 ・日本におけるカード破産の増加は、米国モデルを受け入れて借金を奨励した当然の結果だと思います。 《日銀が意図的に作り出したバブル − 吉川》 ・「バブルの崩壊」は、前川レポートで「構造調整」させた「中曽根首相の最大の犯罪」だと思っています。(198頁) 《中曽根政権の対米協調政策がバブルの原因 − 関岡》 《対日圧力と国内世論の共闘がバブルを潰した − 吉川》 ・「地価が暴騰」したからといって、その恩恵を被っていたのはごく一部のバブル長者だけでした。住宅の購入価格は現実的範囲を超えて、一般サラリーマンには手の届かないものになり、持てる者と持たざる者との「格差」は広がる一方でした。たまりにたまった国民の不満は、日米構造協議で「消費者の利益」を掲げて地価対策を迫るアメリカの外圧と共振を起こし、「バブル潰し」が国民のコンセンサスとなっていったのです。(200頁)⇒格差はいつの時代も失政から生じている。 《総量規制、金融引締めは日本独自の政策か − 関岡》 《「デリバティブ敗戦」の実態 − 吉川》 ・「株式持合い解消」「銀行に対するBIS規制」「時価会計」は一つのくくりで捉えるべきです(グローバル基準三点セット)。(中略)現在日本の株価が割安になっており、「外貨がM&Aを仕掛けやすい環境」になっているのも、この三点セットの結果です。(204頁) 《20年遅れで始まった米国の対中圧力 −関岡》 ・変動相場制を導入したら、次は資本市場の改革、先物取引の導入と、次々とたたみかけていく。ひとたび他国に内政干渉を許してしまえば、歯止めが効かなくなります。 《BIS規制の真の目的は邦銀の押さえ込み − 吉川》 ・BIS規制は完全に邦銀の国際業務を押さえ込むためにつくられたものです。 《時価会計導入で完結した「グローバル基準三点セット」 − 吉川》 ・アメリカの言う「グローバル基準」とは、自国に影響が小さく、日本に甚大な影響を与えるものなのです。 《「競技場を平にならす」米国の戦略 − 関岡》 ・「ルール」とは自分にとって都合のいいものを、自らがイ「ニシアティブを取って造っていくもの」だというのがアングロ・サクソンの発想であり、そしてこれこそまぎれもなく「グローバリズムの本質」である。(中略)米国にとって都合のいいように、日本や世界の市場を改造し、米国風に均一化したいんだということです。(214頁) 《富を創造できなくなったアメリカ経済 − 吉川》 ・「投資ファンド」がある以上、架空の「危機」をどんどんつくっていく必要があるのです。そして、「M&Aで巻き上げて転売」する。(216頁) 第六章 21世紀日米金融バトル − 日本は「マネー敗戦」の構造から抜け出せるか 《為替差損にかまわずドルを支えつづけた日本 − 吉川》 《翻弄された日本の生保 − 関岡》 《経常赤字にかまわずバブルに酔ったアメリカ − 吉川》 ・アメリカの経常赤字の累積である「対外純債務」は、現在だいたい「三兆ドル」、GDPの三割近くです。経常赤字がまず埋らなければ、結局はドルが下がる、あるいは「暴落」もしかねないということです。(225頁) 《ドル崩落のシナリオ − 吉川》 ・日本の保有している「米国債」はおそらく「二兆ドルから三兆ドル」になっていると思う。 《日本の財政赤字を増やして米国の赤字を埋める異常な構造 − 関岡》 ・米国の借金が雪達磨式に増大する中、その半分近くを日本政府が買い支えるという構図になってしまったわけです。 ・日本の国家予算と同規模の資金を投じて、日本が米国の赤字を埋め合わせ、支えるという体制ができあがってしまっているわけです。 ・日本の保有するアメリカ国債こそは、ある意味で、究極の不良資産といえるのではないか。 ・「日本が支えている」おかげで米国は赤字を垂れ流すことができる。ブッシュ減税によって潤った米国の「富裕層の余剰資金」が投資ファンドに雪崩れ込み、そのカネがいま、日本企業を軒並み「買収しょう」と唸りを上げている。これが、吉川先生が指摘してこられた「新帝国循環」のなれの果ての姿なのだろうと思います。(233頁) 《米国の過剰消費体質を改めるしかない − 関岡》 ・原油高の原因は、まさに米国の国内要因なのです。(235頁) ・すべては米国の自業自得である。 《危機に注入した余計な資金がやがて世界を回る − 吉川》 《中東・旧ソ連圏におけるレジーム・チェンジの連鎖 − 関岡》 《アメリカの世界戦略は石油と不可分 − 吉川》 《イランという踏絵を迫られる日本 − 関岡》 ・米国は「イラン・リビア制裁法」という米国の法律を盾にとって、経済制裁をほのめかしながら日本に交渉を断念するよう圧力をかけてきました。これは国内法の城外適用という、国際法上の通念に違反した行為です。(245頁) 《日本の経常収支が赤字になる日 − 吉川》 ・中国としては、政治的にもむしろユーロ嗜好を考えていると思います。 《中国との資源獲得競争の覚悟を − 関岡》 《「マネー敗戦」第二幕=「円のドル化」はあるか − 吉川》 ・最悪のシナリオ、それが「円のドル化」である。(253頁) ・「2010年」を境に事態は大きく変わります。日本が1980年代から始めた三十年もの「米国債の償還」が始まるのです。(254頁) ・為替差損が表面化するのをカムフラージュするために財務省は「円のドル化」を図る。(255頁) ・ドル資産保有の「為替リスク」がなくなれば、日本人の金融資産は金利の高いアメリカへと流れ出します。大規模な「キャピタルフライト」によって、日本国内の経済は「がらんどう」になるでしょう。 第七章 日本のポスト・グローバリズム戦略 − アングロ・サクソン的価値観への対抗軸を求めて 《株式の時価総額は本当に「企業価値」なのか − 吉川》 ・グローバリズムというのは基本的にアメリカの都合から出てきたものです。というのは、アメリカは「赤字」で、自分の国だけでは食えないからです。要するに、グローバルにいろいろなところに手を伸ばさなければやっていけないわけです。 そう考えれば、いまもてはやされている「企業価値」の意味もよくわかります。企業価値とはその企業の株式の「時価総額」であるというのが、グローバリズムの考え方です。これは企業を売り買いするのに便利なように、企業の値段をはっきりさせようというアングロ・サクソン的な発想であり、要は「M&A」をやり易くするための、アメリカの都合に基づいているのです。(259頁) 《「会社は誰のものか」 − 関岡》 ・「会社の資産は株主のものではない」。「株主主権論」は法理論上の誤謬である。(岩井克人氏) ・「株主の利益」が何よりも最優先されるべきだというのは、「アングロ・サクソン特有の価値観」であって、決して世界の普遍解ではないと思っています。日本やドイツ、フランスといったヨーロッパの大陸諸国では、会社はゲマインシャフト的な共同体であって、経営者と従業員、取引先や系列、更には消費者や地域社会といったステークホルダーに共有される「公共財」だという考え方のほうが一般的なのではないでしょうか。(260頁) 《アメリカのシステムが優れているという刷り込み − 吉川》 ・アメリカのシステムはやり直しができる。日本のシステムはやり直しができない」という刷り込みがある。 《不正会計はアメリカ企業社会の「構造問題」 − 関岡》 ・会計士業界と結託して、法律すれすれの会計操作や、不透明な会計処理をやっているのが米国企業。(266頁)⇒相手を「誤魔化す」のが米国。自分を誤魔化すのが日本。 《米国の自浄能力は幻想にすぎない − 関岡》 ・インスル事件は、まず電力という業種、そして子会社を利用した不正取引という手法がエンロン事件とまったく同じなのです。結局、歴史は繰返しているわけです。 《「日米基軸」「対米協調」以外の選択肢はないのか − 吉川》 ・結局は思想の問題であって、「アメリカに対抗できる思想体系」を日本は持たなければならないと思います。哲学や思想、そして「万葉集」は「源氏物語」といった文化から民族の歴史までをも含めた巨大な思想体系、あるいは経済思想の体系がなければ、だめだと思うのです。(270頁)⇒一体それはなんだろうか? ・まさに、日本はいま「アメリカ化」されつつあります。それでいて、パックス・アメリカ−ナ自体が相当問題を抱えていて、とくに「通貨の問題」は深刻です。それにもかかわらず、アメリカとの連衡策以外に選択肢はないのでしょうか。(272頁)⇒中国化の前にアメリカ化が着々と進んでいる。 《政策決定の中心を国会に戻せ − 関岡》 ・日本は少なくとも現行憲法上、「議員内閣制」をとっているわけですから、やはり国民が選んだ代表からなる国会こそが、「政策論議の中心」になるべきです。ところがそれを巧妙に排除するかたちで、国民の審判を受けたわけでもない、選出根拠も不明な民間人を含んだ「経済財政諮問会議」によるトップダウン方式で政策決定が行われているのは、議会制民主主義の危機といっても過言ではないと思います。「議員内閣制との整合性」がほとんど議論されないまま「官邸主導」がまかり通っているところに、いまの日本の政治の究極の「混迷の真因」があるような気がするのです。(274頁)⇒「皇位継承の有識者会議」のように特定のイデオロギーとかスパイが諮問会議に侵入していたらどうするのか。 《「劇場国家」化を阻止せよ − 吉川》 ・あらかじめ筋の決まった芝居を、決められた役者が演じ、観衆がそれを客席から眺める。それが劇場です。今の政治がまさにそれです。 《政官財「鉄のトライアングル」の戦略的意義 − 関岡》 政官財がらみのスキャンダルが発覚すると、マスメディアは非難合戦に熱中するあまり、ごく一握りの不心得な政治家や官僚だけでなく、システムや「構造」そのものがすべていけない、というように批判をエスカレートしていきます。日本の政治の仕組みそのものをも貶めることによって、自国の政府や政治家に対する「国民の信頼を毀損」してきたのです。 その結果、政官財「鉄のトライアングル」が解体され、日本に「司令塔」がなくなってしまった。それで一番「漁夫の利」を得たのは誰かといえば、それは米国ではないかと私は思います。 戦後焼け跡から「奇跡の復興」を成し遂げられたのも、1980年代に「貿易戦争」で米国に圧勝したのも、やはり日本は司令塔がしっかりしていたからだと思います。それは旧通産省を中心とした日本の「政府、官僚機構」が非常に優秀であったということです。身分とか門地に関わりなく優秀な人材を広く登用し、まるで有機体のように精緻な組織の中で活用していく。この「組織力」こそ、日本の最大の強みだったと思うのです。(277頁) ・国会議員の役割が、あらかじめ民間議員たちによって「お膳立てされた法案」を自動的に追認するだけのものになってしまっている。与党自民党の国会議員ですら、政策論議や意思決定の中枢から巧妙に「排除される仕組み」がいつの間にかできあがっているらしい。「劇場国家」はいまや、国民だけでなく国会議員までもが観客になっているほど事態は深刻です。(278頁) ・経済財政諮問会議の根拠法は「内閣府設置法」ですが、それには、この会議と総合科学技術会議という二つの会議に関する定めがあります。ところが二つの会議の民間議員に関する規定には大きな差があるのです。総合科学技術会議の民間議員については、任命時に「国会の承認」を必要とすること、守秘義務や営利活動の禁止などの「服務義務」、罷免する方法などにつき「厳格な規定」があるのですが、経済財政諮問会議の民間議員には、なぜかこれらの規定が「いっさい欠落」しているのです。いかなる選考基準で選ばれたのか、選考過程もまったく国民には説明されていませんし、任命する際にも国会を通さなくていいし、罷免する場合の手続きも規定がない。「義務も責任もなく、権限だけが与えられている」んです。⇒教育再生会議もそうではないのか。 国民の負託を受けていない、そういう一握りの人間が米国流に「政治利用」されて国政を牛耳り、米国に影響された「市場原理主義的イデオロギー」に沿って日本の政策を決定している。与党の国会議員すらそれを「チェックできない」という異常な構造が出来上がってしまったわけです。すべてをいったんサスペンドして、元に戻していただきたいと思います。(279頁)⇒戦後は「共産主義」と「市場原理主義」の両方で浸食されている。 《対米依存度を低減すべき − 関岡》 《東アジア共同体構想を「汎アジア共同体」に換骨奪胎せよ − 関岡》 ・「アングロ・サクソン」は、自分たちに「有利なシステム」を、他の民族がその「真意を見抜けない内に世界規模で構築」してしまうことに長けているのです。 たとえばIMF・世銀を中心とした「国際通貨制度」しかり、ニューヨークとロンドンを中心とした「国際金融・資本市場」しかり、GATTからWTOに至る「世界貿易システム」しかり、そしてロイターからエシュロン、インターネットに至る「国際通信ネットワーク」もしかりです。そして現在完成しつつあるのが「国際会計制度」です。本書を通じて検証してきたように、アングロ・サクソン流の時価会計が世界標準にされてしまい、日本も導入を余儀なくされた。 その流れは今や法律の分野にも及び、日本の「商法」が大改正され、企業統治も「社外取締役」など米国型コーポレート・ガバナンスが導入され、2005年にも新しく「会社法」がつくられて米国型のM&Aも解禁される。さらには「司法制度」についても、日本を米国並みの訴訟社会に変貌させるべくすでに手が打たれている。政府による経済法の英訳作業を通じて、ヨーロッパ大陸法の法統を継受している日本の「法体系の英米法化」も今後進んでいくと思われます。 制度や仕組みがいつのまにか次々と「アングロ・サクソン化」されているのです。グローバリゼーションとは、「世界のアングロ・サクソン化」にほかならない。軍事力を行使せず領土を占領するわけでもなく、制度やシステムといった無形のインフラを媒介としているため目に見えず気付かれにくいですが、真綿で首を絞めるように徐々に効いてきて、気がついたときにはがんじがらめにされていて、服従せざるをえなくなっている「不可視の帝国主義」とでもいうべきものです。(282頁) ・東アジア・サミットで協議される予定の「東アジア共同体構想」は、たしかに東南アジアを牛耳るために中国が主導している戦略です。米国は政権OBのアーミテージ前国務副長官が中心となってさかんに日本を牽制しています。しかし日本はたとえ米国に恫喝されたとしても、東アジア共同体構想を単に潰すことに加担するべきではありません。むしろ中国の思惑を逆手にとって「換骨奪胎」し、逆に中国包囲網に作り直してしまうぐらいのしたたかな戦略性を発揮すべきではないかと思います。つまり、すでに参加を決めた「インド」に加え、西アジアの「イスラーム圏」をも巻き込み、日本からトルコまで、全アジアを包摂した「汎アジア共同体」に変容させてしまう、というのが私の考えです。 中国とインドは「永遠の宿敵」で、互いに大国意識と文明の発祥地という自負心が過剰なため相容れません。最近、中国がインドに急接近しているのは、インドの台頭に対する焦りにほかなりません。一方、「インド」はパキスタンとの確執を抱え、「イスラーム圏」とは相容れない。「中国」もまた、国内に「新疆のイスラーム問題」を抱えている。支那、ヒンドゥー、イスラームのアジアの三大文明圏は「三すくみの状態」にある。一見、地域統合は絶望的に見えますが、逆にこのような状況こそ、日本が「キャスティング・ボード」を握れる余地があるのではないかと思います。戦前はアジアの盟主になろうなどという気を起こしたから失敗したのであって、日本には盟主よりも「調整役」が似合っています。島国の人間に海千山千の大陸諸国を牛耳ることなど所詮無理だと割り切って、三大文明圏の「仲裁役」に徹しながら汎アジア共同体を纏めていくのが得策だと思います。 日本は中国とは「絶望的な確執」を抱えています。近代に関する歴史認識の問題が喧伝されていますが、私はそれ以前の問題として、中国人の潜在意識に「中華意識」が刷り込まれている限り、真の相互理解は千年経っても難しいと思います。しかし日本は「インド」とのあいだには何の葛藤もない。むしろ、戦前の玄洋社の頭山満翁や新宿中村屋とビハリ・ボースの関係や、GHQ占領下の「東京裁判」で日本無罪論を主張したラダビノッド・パル博士を通じた深い「精神的紐帯」があります。この歴史的つながりを日印双方で国民感情に訴え、経済的連繋と併行して強化していくことが重要だと思います。(285頁) ・私は以前イランを旅行したとき、「日本あのモンゴル帝国を討ち払い、帝政ロシアを打ち破り、アメリカとも互角に戦った。最後は負けてしまったが、それはアメリカが原爆という非人道的で卑劣な手段を使ったからだ。日本は資源もない小さな島国だが、武勇の国、もののふの国だ。しかも、われわれムスリムを一度も迫害したことがない」と、こういわれた。(285頁) ・「戦前のアジア主義」とは、日本が「東南アジア」や「インド」、更には「イスラーム圏」とも連繋し、「対中包囲網」を構築する。そうして中国の拡張主義を封じ込めながら、同時に、白人の植民地主義者を「アジアから叩き出し」、「アジア人のためのアジア」を復興する、そういう気宇壮大な世界ビジョンだったのです。(286頁) 《アジアに訴えるべき日本発の思想はあるか − 吉川》 ・グローバリズム一辺倒のいま、それに対する対抗軸となるような思想を構築しょうとしている人が、世界的に見ればいるようですが、これは大変難しい。でも誰かがやらなければ、アメリカ流のグローバリズムに「世界は呑み込まれて」しまいます。日本がアジアに訴えるにしても、最後はそういう思想が問われることになると思う。(289頁) 《集団主義の価値観はアジアで共有可能 − 関岡》 ・「個人主義」なるものは、アングロ・サクソンの歴史的・文化的土壌から形成されたローカルな「民族的特性」にすぎず、決して人類普遍の価値観ではない。少なくとも、われわれ日本人が長い歴史のなかで培ってきた「和を以って貴しと為す」「長幼の序を重んず」「弱きを助け、強きを挫く」という生き方、価値観とは「根本的に相容れない」ものだと信じます。 ましてやアジアやイスラーム圏は、「共同体」に帰属して、そこで「共生」し合うという濃密な「集団主義社会」です。どこで読んだか思い出せないのですが、民族間の複雑な利害対立に悩むいまのアフガニスタン政府関係者に、日本人の専門家かNGOの方が日本の「談合」のことを自嘲気味に話したら、「それは素晴らしいシステムじゃないか。さすが日本人は頭がいい」と言われたという記事を読んで、思わず目からうろこが落ちたことがあります。極端な「勝ち組み」も生まない代わりに極端な「負け組み」もつくらないことで社会の「秩序と安寧」を保ちながら、「共同体全体の幸福を追求する」という価値観は、むしろ世界的には圧倒的多数のものではないかと思うのです。アングロ・サクソンだけが「競争、競争」と口うるさく迫ってくるのです。(291頁)⇒「談合」はわるくない。 ・日本的な価値観をアジアに押し付けようとしてもうまくいかないでしょうが、日本的な「集団主義」、「共同体重視の価値観」は、アジアで共感を得られるし、アングロ・サクソン的な個人主義に対抗するひとつの「対抗軸」になりうるのではないかと思うのです。それに立脚した日本型経営システムなどは、アジアのローカル・スタンダードになる可能性がまだ残っていると思います。(291頁) 《日本の知的インフラを強化せよ − 吉川》 ・日本の研究機関はいま財政的に厳しい状況にあります。大変有意義な研究をしている財団も軒並み経営がピンチです。ある程度の基本財産をもっていても、金利がないからです。また、税制上の問題で、日本では寄付も容易に集まりません。 《集団主義的価値観こそ日本の強み − 関岡》 ・「個人対個人なら、米国人は日本人に勝つことはわけもないが、集団対集団、組織対組織となると勝てない。なぜなら米国人は集団になると、誰もがリーダーシップを争い、あるいは功を競って足を引っ張り合い、気がついてみると集団で結束してことに当たる日本人に水をあけられている」 ・日本企業は、米国系コンサルタント会社のセールス・トークに踊らされ、こぞって「成果主義」という米国流の人事評価制度を導入しました。成果主義では、チームワークではなく、あくまで個人の貢献度が競わされます。 ・日本人が「個人主義」へとどんどん傾斜していき、その最大の強みであった「集団への一体感」と「忠誠心」を失っていく。いかなる集団へも帰属意識を持てない。「孤独な個人」が刹那主義に陥り、世の中の出来事に対する「当事者意識」を失い、外資に支配されて何が悪いという、誇りなき時代精神を醸成している。今日の日本の国力の衰退の真因は、まさにこの一点にあるのではないでしょうか。(296頁) |
| 堤 尭 &久保紘之 WIll 平成19年2月号 久保:親の勝ち組み・負け組みの区分けがそのまま子供の世界に反映される。 堤:とにかくイジメは昔からある。先月も言ったけど、弱くて無抵抗の相手をイジメる、というのは人間や国の本性なんですよ。それを踏まえて対処法を考えないといけない。 堤:生きる為に殺しているんじゃなくて、快楽のために殺している。子どもがいたんじゃ性的な快楽が得られない。畠山鈴香が典型でしょう。 久保:ライオンは発情するために子どもを殺す。今の子を殺す連中も発情したいから殺すんでしょう。 堤:子どもの頃から武術を習わせる。武術は強ければ強いほど礼儀正しい人が多い。弱いものをイジメるな、という最低限のことも学べる。礼儀作法が身につくし、身体も鍛えられる。小学校の必須科目にすればいい。これが一番、即効薬としていいと思いますよ。 四つ目は、復讐を是認する。 堤:アメリカの郵政は国営だ。にもかかわらず、日本に民営化を迫った。何故か。郵貯・簡保に貯まっている日本人の最後の貯金三百四十兆円が狙いだ。だから法案が参院で否決された日にアメリカの新聞ウォ−ルストリート・ジャーナルがこう書いた。「三百四十兆円はしばらくお預けだ。しかし、小泉は頑張るだろう」 ウォ−ルストリート・ジャーナルといえば米財界の広報誌みたいなものだ。それがこんなことを書いている。これこそがアメリカの本音なんですよ。あの法案の最大の眼目は三百四十兆円を裸にして、大手外資の前に晒すこと。 久保:エドマンド・バークは有名なブリストル演説で選挙民に対し、こう言っている。「諸君の代表は、その勤勉さばかりか、その判断力をも諸君のために役立てる義務を負っている。もし彼がその判断力を放棄し、諸君の意見に付き従うなら、彼は諸君に奉仕するのではなく、逆に諸君を裏切っていることになる」 ところが小泉は、大枠について国民の支持を貰いながら、どうも内容には不備があり、国家国民に不利益をもたらしかねないと参院で否決廃案にした法案を、再び国民に大枠で判断してもらう為に選挙をしたんです。これでは代議制民主主義の根本原理が崩壊してしまう。 堤:参議院で否決された法案は衆議院に戻し、四分の三の賛成を得ないと通らない。それは無理だと判断し、衆議院を解散した。小泉は法の手続きをショートカットしたんだ。 久保:中川の悪質なところは表向き世論にべったりのように見せているが、実は大衆を出しに使って自分の権力保持を謀る姿だ。平沼に帰ってこられるのが困るからですよ。最大の問題は、中川秀直みたいなのを幹事長にしたことですよ! 堤:それはその通りだ。 |
| 関岡英之著 「拒否できない日本」 文芸春秋 T 北京・シカゴ枢軸の怪 《ささいな発掘》 《中身はアメリカの制度の焼き直し》 《アメリカのパートナーが中国という不可解》 《アメリカの皮算用》 《もう一つの重要な交渉が》 《中国のメリットとは》 《米中のバーター取引》 《シナリオはシカゴで立案されていた?》 《中国の本当の狙い》 《WTOを政治的に利用するアメリカ》 《司馬遼太郎がニューヨークで考えたこと》 《世界最大の建築家大国・日本》 《日本と世界では建築家の定義が違う》 《日本は何故てをこまねいていたのか》 《建築をめぐる中国と日本の実情の相違》 《関心が薄かった日本の建築界》 《舌を巻くアメリカのリーダーシップ》 《職業団体とアメリカ政府の連携プレー》 《サービス産業連合の気になる動き》 《とりわけ目を引く「中国部会」》 《WTOはアメリカでは一大利権》 《「アメリカの国益にとって重要な勝利」》 《北京・シカゴ枢軸》 《あの中国がアメリカと手を結ぶ》 U 対日圧力の不可解なメカニズム 《阪神淡路大震災》 《半世紀ぶりの建築基準法大改正》 《答申書の奇妙な記述》 《実はWTOの協定にオリジナルがあった》 《不可解な法改正は何故行われたのか》 《日米通商摩擦に発端が》 《大震災のドサクサに紛れて法改正?》 《アメリカの公文書には堂々と記述》 《日本国民には知らされていない》 《数年後の日本を知る必読の文献》 《日本政府はなぜ外国業者の利益を図るのか》 《クリントン政権の考え出した「年次改革要望書」》 《マス・メディアが今まで報道しなかったこと》 《内政干渉を隠そうともしないアメリカ》 《要求の進捗状況は日米当局者が点検》 《通商代表部は経営コンサルティング事務所》 《外圧の悪夢は過去の話?》 《ブッシュ政権でも対日圧力の仕組みは消えていない》 《2003年版にもギョッとするような生々しいことが》 《ルーツはもっと古くまでさかのぼる》 《対日貿易赤字と日本異質論》 《「外圧で日本の思考・行動様式を変形・破壊すべし」》 《わずか20分の会談で決まった「日米構造協議」》 《外圧サマサマの反応も》 《アメリカ政府が日本の消費者のために働くわけがない》 《「日本のアメリカ支持者を国益に利用するのは戦略」》 《主権国家の対等な交渉ではなかった》 《「イニシアティブ」というキーワードの重要な意味》 《犯人はアメリカの財務省だった》 《ルーツは日米円ドル委員会》 《日本側lの反論とアメリカの恫喝》 《アメリカからの外圧と「トロイの木馬」》 《思わぬ仕掛け人も》 《プラザ合意と新通商政策のタイミング》 《名高い悪法「スーパー301条」》 《「日本に負ける」という危機感》 《共和党は日本に手厚いか》 《ドイツと結託してアメリカに対抗することもできたはず》 《アメリカに点数を稼ごうとしてバブルを生み出した》 《老獪なアングロサクソンに善意を期待するのは危険》 《「史上最も偉大な大統領」に選ばれたレーガン》 《ソビエトの軍事力より日本の経済力の方が脅威》 《日本がアメリカの資産を買い捲ったのはプラザ合意のおかげ》 V この世はアングロサクソンの楽園 《バブル経済の破裂》 《株価に翻弄された人生》 《企業業績と会計》 《会計基準の国際的統一》 《アングロ・サクソンの意のままに》 《アメリカが他を圧倒》 《日本のあまりに惨めな状況》 《早くから多数派工作をやるべきだった》 《ライバルなしのアメリカに門前払いを喰わされた》 《国際会計基準問題は戦争である》 《日本の「国内体制」不備とは》 《エンロン事件とアメリカの会計制度のとてつもない欠陥》 《つまずいたアメリカ資本主義の自浄能力》 《アメリカビジネス社会の腐敗は構造的》 《エンロン事件とそっくりの事件》 《ドリームチームの破綻で慌てたアメリカ金融業界》 《「ダイエーを救済した日本は堕落している」と日米財界人会議で》 《時価主義と原価主義》 《何でも株価の上がり下げに結び付けたがるアメリカ的発想》 《日本の「含み益」経営と土地神話》 《日本の土地問題を徹底的に調べていたアメリカ》 《「含み益」企業担当のアメリカ人アナリスト》 《「減損会計」導入でほくそえむのはハゲタカ・ファンドだけ》 《日本経済を支えた独自のシステムが死んでしまう》 《フランスやドイツを巻き込もう》 《今や会計だけの問題ではない》 《仕掛け人は五大会計事務所》 《愕然とする2002年の商法大改正》 《アメリカのビジネス社会そのものに》 《アメリカ型への移行は数社だけ》 《商法改正もアメリカの要求から》 《何から何まで日本企業買収のため》 《産業再生機構にも別の役割が》 《首相以下国をあげて身売りの支度》 《公正取引委員会もコントロール下に》 《何故公取委には規制強化lを迫るのか》 《談合摘発とアメリカの利害》 《90年続いた入札制度の崩壊》 《日本貿易問題の最難関は日本の建設市場 《エシュロンの通信傍受》 《同盟諸国も監視の対象に》 《身の毛もよだつアメリカの独善》 《アメリカの徹底的な対日不信》 《郵政公社やNTTに揺さぶりをかけるため》 《公取委はアメリカの下請けではない》 《恐るべき三重苦が降りかかる》 W 万人が訴訟する社会へ 《「わたし、訴えてやる」》 《訴訟社会への急激な変化》 《弁護士業の自由化が日本法曹界にもたらすこと》 《内政干渉の知恵袋》 《契約書は英文、根拠法は英米法》 《北京での苦い経験》 《アメリカが要求している「司法制度の改革」》 《「差し止め請求制度を強化せよ」とアメリカ》 《いいことずくめの要求ではない》 《独禁法はアメリカで生まれた》 《「独禁法をもっと厳しくしろ」とアメリカは言うが》 《司法制度改革の三つの柱》 《対日年次改革要望書に盛り込まれていたこと》 《財界人から市民団体までオール与党》 《アメリカが陪臣員制度を要求しないわけ》 《アメリカの魂胆はリーガル・ハラスメントか》 《日本の市民に「集団訴訟」を起こさせる》 《訴訟爆発で日本企業弱体化をもくろむ》 《日本政府もターゲットに》 《日本の社会構造そのものを変えさせる》 《21世紀の「この国のかたち」は》 《アメリカ型への「日本改造プログラム」》 《あまりに重大すぎる問題だから》 《黒衣の神官団》 《三権のバランスが全く違う日米》 《アメリカ社会で司法が果たす役割の大きさ》 《行政府への不信感はアメリカ人の本能》 《ブッシュ大統領や連邦議会も巻き込んだ大騒ぎ》 《立法も監視するアメリカ司法》 《アメリカ社会の訴訟禍》 《弁護士業界が巨大な政治力を持つアメリカ》 《ヨーロッパ人から見ても異常》 《多数の弁護士がひしめき合って争うアメリカ》 《私人に訴訟を起こさせるインセンティブ》 《法は裁判所で作られるアメリカ》 《「大陸法」文明と「英米法」文明》 《アングロサクソンの大陸コンプレックス》 《大掛かりな訴訟は人海戦術で》 《日本版ロースクールのカリュキュラムをめぐる紆余曲折》 《老獪なイギリス人の抜け穴》 《エクイティは人情味溢れる「大岡裁き」》 《トマス・エジソンは訴訟王》 《法律的判断と道徳的判断を混同しているアメリカ人》 《GHQの司法改革》 《アングロサクソン型の新憲法》 《一読に値するオプラーの回想録》 《主権国家のアメリカ化》 《厄介で迷惑な隣人・アメリカ》 《英米法もローカル色豊か》 《アメリカは他の国とはかけ離れた存在》 X キョ−ソーという名の民族宗教 《フリードマン教授の誕生日》 《大恐慌とケインズ革命》 《ニューディール政策とリベラリズム》 《フリードマンのケインズ批判》 《「悪しき神話」で政府介入主義が蔓延った、とフリードマン》 《独占を礼賛し、首を傾けたくなる極論も》 《レーガン大統領に採用されて近代経済学の主流に》 《党派を超えた国家的イデオロギーに》 《ニクソンに金・ドル交換停止を進言》 《世界最初の通貨先物取引市場》 《外貨取引の実需原則が撤廃に追い込まれる》 《巨額のマネーが飛び交うように》 《国際的カジノ経済に組み込まれる》 《マハティール首相の勇気あるスピーチ》 《アングロサクソンが独占するノーベル経済学賞》 《ノーベル賞の名に相応しくないという声》 《金融市場でいかに儲けるかで受賞した者の》 《「市場がそれを望んでいる」などという発言に客観的根拠は何もない》 《ノーベル経済学賞受賞者がいたヘッジファンドが破綻》 《アメリカ的自由の危ない病理》 《アナーキズムにしか見えないがアメリカでは保守》 《アメリカ人の「自由」には「競争」がこめられている》 《「以心伝心」は日本人だけのものではない》 《世界の圧倒的多数は集団主義的社会》 《フリードマン的自由放任主義と個人主義の伝統》 《イギリス独特の思想風土から生まれた個人主義》 《個人主義は素晴らしいと肯定する国民性》 《合衆国建国の理念になった個人主義》 《勝ちさえすれば全てが正当化される》 《「ネオ・アメリカ型」「ライン型」》 《「自由化」とは実は「英米化」?》 《国会議事堂で「キョ−ソー」を語ったブッシュ》 あとがき 《すべてアメリカ政府が公文書で発表していること》 《「継受法」と「固有法」という視点でみると》 《固有法時代の日本的なるもの》 ------------------------------------------------------- ◇ ---------------------------------------------------------- 関岡英之 「議員内閣制の危機ー諮問会議政治検証の必要性」 拓殖大学日本文化研究所客員教授 <目にあまる諮問会議政治の横行> <経済財政諮問会議のレジティマシ−を問う> <規制改革・民間解放推進会議を牛耳る4人組> <対日投資会議に巣食う外国人利害関係者> <全ては村山内閣から始った> ・そもそも米国がいつから日本の政策決定プロセスに目を付け始めたかというと、村山内閣の1994年11月に第一回の「年次改革要望書」が出されている。 ・国民に選ばれた代表である国会議員をさしおいて、権勢欲にかられた独善的な学者・エコノミストや、規制緩和によって自分自身が潤う財界の一部の新興勢力や外資の利害関係者などが国政を牛耳っている現状は、どう考えても議会制民主主義を逸脱している。国会議員が蔑ろにされているということは、国民が軽視されているということだ。 村山内閣によって歪められた奇怪なメカニズムを一掃し、国の政策決定権を国権の最高機関である国会の場に取り戻すこと、すなわち憲政の常道、民主主義の基本に立ち返ることが、いま求められている。 |
| 伊豆村房一 ジャーナリスト 「正論」平成19年11月号
<成長の鍵は生産性革命> |
| 高橋洋一 内閣参事官 「諸君」平成19年12月号 ・竹中さんは人から聞いて、いい話はすべて吸収してしまう。彼の強みはそこです。とにかく吸収力、理解力はすごい。いい話、考え方をピュ−と取る。それを自分の言葉でサーッと言う。 ・竹中さんは自分の言葉に固執しない。おおきなプロジェクトのときには何かに固執しているとうまくいきません。だから最善の部分を全部組み合わせて、自分でまとめあげていく能力が必要になる。しかも竹中さんはそれを全部自分の言葉でしゃべることができる。国会答弁も自分の言葉で誰の力も借りずに全部できる。その点であの人はスーパーマンです。 ・政治家はそんな細かいことまではやりませんからね。普通の人にわかるようなレベルで、大きな方向性を示すのが政治家の仕事だから。実際にスケジュールを立てて、絵を描いていく私達の実務作業とは違います。もちろん、さすがに要所はつかんでいました。政治家としてはかなり細かいレベルまで理解している方だと思う。4分社化という話がすんなり入っていたのはすごかった。 ・郵政民営化と政策金融改革はコインの裏表の関係なんです。 ・官僚機構は単なる執行機関、決めるのはあくまでも政治家だと割り切ったほうがいい。 |
| 真中行造 HP管理者 《吉川元忠先生を悼む関岡英之氏のことば》 ・先生は不世出の碩学でした。時流に阿らず、毀誉を顧みず、ついに信念を曲げずに正論を説き続けられました。 ・先生の正論は、それがまさに正論であるがゆえに、学界・論壇での処遇は実に冷淡でした。しかし終始一貫した先生の憂国の情あふれる警鐘は、日本の知的社会を深き根源から揺さぶり続け、いまも良識ある人々に固定観念に対する省察を迫ってやみません。 ・卓越した思想書は、読了したその日から世界が異なって見えるような衝撃を人に与えます。私にとって吉川先生の一連の著作群が、まさにそうでした。この比類なき先学の貴い学恩は、長らく思考停止状態にあった私をにわかに覚醒させてくれたのです。 ・吉川先生が提唱された国富防衛、対米自尊の思想は、必ずやこの日本国に連綿と受け継がれていくでしょう。ひとりの類希なる憂国の思想家のご冥福を心からお祈り申しあげます。 |